ファッションの隆盛衰退は、1年もたたないうちにどんどん変化していると思います。
だから、昨年は多くの方に支持されて似たようなものを着ている人が多かった服が、1年で古いものになることは、特に昔はよくありましたね。
ここしばらくは、細部にはいろいろあっても全体としては「定番」というスタイルがあって、長持ちもするようになっているかもしれませんが。
DCブランドが流行っていた時期の服は、個性が強いので、今着るのはちょっとためらわれるものが多いです。ただ、ファッションは、なぜ今これが?というようなものが、10年周期で戻ってきたりすることもあるので、まだわからないですけど。
今はどちらかといえば、ファストファッションというようなものもあれば、ブランドのついた高級なものもあって、多様性に富んでいる気がするので、まだ救いがありそうですが、ひとつが流行ればすべてそれになってしまうような時代の作られ方をしていた頃が、今から思えば少し不思議な気がしてきます。
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このニュースに、デジャブ(既視感)のような感覚を持ちました。80年代に一世を風靡(ふうび)したDC(デザイナー&キャラクター)ブランドブームが没落していった時の状況と非常に似ているのです。以下列挙します。
まず第一に、DCブランドも109ファッションも急成長したこと。両者共に過去になかった強烈なインパクトで、若い人たちの心をつかみ、売り上げを伸ばしました。それが急すぎたために、さまざまな歪(ゆが)みが生じていたと思われます。
第二に、経営がずさんであったこと。DCブームの絶頂期には、その多くの企業の経営幹部やデザイナーたちは当時としては破格の給与をもらい、派手な高級車を乗り回し、毎晩、飲食店で派手に遊び回り、湯水のように会社のお金を使いまくっていました。109ブランドのすべてがそうだとは言いませんが、経営難に陥った109系企業のいくつかは似たような“不行状”があったようです。信用調査会社のデータによれば、多くの109系企業の経営内容はかなり脆弱(ぜいじゃく)であると言わざるを得ません。現場で働いている人ではなく、経営に問題があることは明白です。
第三に、強力なライバルの出現です。DCブランドは80年代半ばにピークを迎え、その後衰退していきます。時代はバブル絶頂期に向かうころで、消費者が国産のDCブランドから、海外のラグジュアリーブランドに大きくシフト。80年代後半には、高校生がジョルジオ・アルマーニを着るようになっていました。
(読売新聞 2011年9月27日)
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